父親たちの星条旗

前々から見たいと言ってた作品をなんばマルイで見てきました。
今ではインターネットで予約できる。しかもとくに会員登録なくてクレジットさえあれば。
ほんと便利な世の中ですね。
いつものようにネタバレですので。

第2次世界大戦の重大な転機となった硫黄島の戦いで、米軍兵士たちはその勝利のシンボルとして摺鉢山に星条旗を掲げる。しかし、この光景は長引く戦争に疲れたアメリカ国民の士気を高めるために利用され、旗を掲げる6人の兵士、ジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)らはたちまち英雄に祭り上げられる。

…何と言ってよいのか。決しておもしろい作品ではありませんでした。
駄作って意味ではありません。かなりの良作です。
監督は巨匠イーストウッド。おもしろおかしくするのではなく、さすがと言える内容でした。
戦争や軍隊を愚か者として描き、感情的な戦争反対しか言えぬ一部の反戦映画にはない深いメッセージがあった。
とかく感情が入りがちな戦争映画において、こうしたクールな雰囲気の作品は珍しい。
これがノンフィクションなのかフィクションなのかわからんくなってしまう。
いや、きっとノンフィクションなんでしょうね。
この作品を見てあーだこーだ言えない。でも書くんだけどねw
 
 
この映画は硫黄島におけるアメリカ軍と日本軍の太平洋戦争のお話し。
硫黄島とは、本土爆撃に向かう米軍側長距離爆撃機に対する警戒基地の役割を果たしている島。しかしとても小さな島。
つまりアメリカ軍がまず最初に叩いておかなければならない場所。
その硫黄島では日本軍と約5週間にわたる激戦となり6800人以上の米海兵隊員と2万1000人以上の日本兵が戦死しました。
 
進行3日目に硫黄島の唯一の山摺鉢山に星条旗を掲げる事になる。その時撮った写真がこの物語の軸になる。
ここでいう一枚の写真とは、AP通信のジョー・ローゼンタールが撮影した有名な一枚のこと。
数名の米海兵隊員が、全員で星条旗を地面につきたてようとしている、あの有名な構図のやつ。
この写真に写っていた3名が国の宣伝用に硫黄島で凄まじい戦闘を行っている中呼び戻され、戦争資金の調達にさも英雄のように祀り上げられ苦悩する。
自分は何もしてない。硫黄島では今でも仲間が戦っている。と言った苦悩を描いている。
マスメディアを上手く利用する政府。英雄のように祀り上げるマスメディア。
今も昔もアメリカはヒーロー志向が強いのではないのかと思ってしまいました。
 
映画の作りも時系列ではなく、フラッシュバック形式で作られていることで兵士の苦悩ををダイレクトに感じられた。
たんたんと事実と苦悩を述べていく感じ。
ただ戦争シーンではなかなかのグロディスク。うん、痛々しかった。
日本軍の描写が一切ないのがすごい良かったと思う。
やはり戦争は2国の言い分があるので中途半端な描写はかえって間違った認識を与える。
そして何良より衛生兵ってものすごい役割。兵隊より何倍も恐い。何も隠れるとこなくても、的になるようなとこでも負傷してる兵士を助けようとする。
見てるこっちがひやひや。衛生兵は凄いと思った。
 
一見小規模上映の映画のような玄人好みの映画。
大巨匠が描く戦争映画はセンスの良い大人な映画でした。 
 

父親たちの星条旗

父親たちの星条旗

 
そしてこの映画と正反対になりそうな気がするのが『硫黄島からの手紙』。
父親たちの星条旗』が戦争シーンこそ激しかったもののたんたんと進んだことに対し、
おそらく『硫黄島からの手紙』は激しいものになると思う。
また前者はアメリカ軍よりも英雄に担ぎ上げられたことに重点を置いている。
しかし後者は完璧に戦争がメインになってくるだろう。
そして最期は日本軍は全滅する。と思われる。
そんな中の手紙。こちらは涙が出てくること間違いない気が。。。
おそらくわかりやすいのもこっちだろう。
来週から公開。早く見たい☆
 
 
ちなみのちなみにトリビア
海兵隊員が星条旗を掲げる 様子を撮影したジョー・ローゼンタール氏は今年の8月に94歳でお亡くなりになられました。
後の回想記によると、摺鉢山に登ったローゼンタール氏は、すでに頂上に星条旗が立てられているのを確認。
しかし、海兵隊員がより大きな旗を掲げようとしているのを目撃し、シャッターを切ったそうな。
この辺りは映画でも出てきます。ご覧あれ。